ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック内容と方法

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック内容と方法 ストレスチェック

ストレスチェック後の集団分析結果を把握したものの、各部署の上長へのフィードバックに悩む人事労務担当者の方の声はよく聞かれます。

「集団分析結果を組織長の通知箋のように受け止められ、管理監督者批判と思われた」
「組織長へフィードバックしても、情報が活用されず、改善への取り組む様子がない」

ストレスチェックの集団分析結果は、職場の問題を把握し、効率的に職場環境改善を行うためにも有用な資料となります。

今回は、ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック時に何をどのように伝えたらよいのか、内容と方法についてお伝えします。

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック前の注意事項

各部署の組織長へ集団分析結果のフィードバックを行う前に、開示内容や情報の取り扱いについての注意事項を確認します。

集団分析の結果の開示範囲や活用方法は事前に審議しルールをもって行う

集団分析の結果を活用した職場環境等の評価、対策の立案、実施、効果評価などについて、ストレスチェック実施前に衛生委員会等で調査審議した上で事業場内の実施細則に定め、安全な管理下での運用が必要です。

どの管理権限者にどの情報まで閲覧可能とするかを事前に設計しておくことが重要です。

また、ストレスチェック実施後の職場環境改善で従業員への不利益がないかなど、ストレスチェック実施時の安心感が失われないように留意しましょう。

少人数の部署の場合の開示範囲について

集団分析結果は個人を特定することができないため、従業員の同意なく、実施者から事業者へ結果を開示することができます。

職場のストレス判定図を利用する場合は、10名以下でも結果を表示することができますが、あまり少人数では集団の結果という解釈が難しくなります。

ある程度同じ環境下の対象者を一定数以上集計することで、有効な結果となるよう工夫しましょう。

>>集計単位が10名未満の場合の集団分析方法についてはこちら

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック時に伝える内容

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック時に伝える内容については、先に述べたように、衛生委員会等で討議し決定します。ここでは一般的な内容についてお伝えします。
ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック時に伝える内容、主に次の3点です。

1、ストレスチェック制度・集団分析の目的概要
2、集団分析の見方・活用方法
3、職場環境改善の取り組み方

1、ストレスチェック制度・集団分析の目的概要

まずストレスチェック制度について確認します。なぜなら、ストレスチェックについて「従業員のストレス状況をチェックすることが目的」と理解されている場合があるからです。

ストレスチェック制度の目的は、従業員のストレス状況を確認することで、職場のストレス要因を把握し、職場環境改善に繋ぎ、その結果として従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止することにあります。

効果的な職場環境改善のためにも集団分析結果は重要です。集団分析結果によって部署ごとのストレスの特徴と傾向がわかります。この結果は部署の管理職を評価するためにあるのではなく、改善ポイントを見つけるための参考として活用するものであることを伝えます。

2、集団分析の見方・活用方法

ストレスチェックの集団分析の具体例

集団分析の見方や活用方法を具体的に説明します。集団分析では「仕事のコントロール」「仕事の量的負荷」「上司の支援」「同僚の支援」について把握することができます。

全国平均と比較した結果によって、自身の管轄部署がどの程度のストレス状況かより具体的にイメージすることができます。ここから強みや弱みがわかります。

ストレスチェックの集団分析については、下記の記事で詳しく説明していますのでご参照ください。

3、職場環境改善の取り組み方

職場環境改善へ取り組みに向けて、他社の成功事例などを交えながら取り組み方法について伝えます。集団分析結果から、管轄する部署において何が不足しているのか把握し、適切な職場環境改善策を考えるための取り組み方などを理解してもらいます。

職場環境改善の進め方やヒント・アイデア集はこちらの記事をご参照ください。

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック方法

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバック方法は、研修など集団で行う方法と、面談などを通じて個別で行う方法があります。それぞれについて見ていきます。

集団分析結果のフィードバック|集団研修

管理監督者を対象とした研修を行い、集団分析結果をフィードバックする方法は、一度に情報を共有することができ、効率的に行うことができるということがメリットです。

理解を促すためにもわかりやすい言葉で、具体的に説明することが重要です。また、管轄部署の結果から自身の部署の強み/弱みを把握したり、その結果から具体的な職場環境改善の取り組み方法を確認したりすることで、集団分析を具体的にイメージしてもらうことができます。

集団研修内容

1、ストレスチェック制度・集団分析の目的概要
2、集団分析の見方・活用方法
3、全社の結果の確認
4、管轄部署の結果から強み/弱みの把握
5、職場環境改善の取り組み方
6、改善のための具体的な立案方法
7、質疑応答

集団分析結果のフィードバック|個別で行う

フィードバックを個別で行う方法は、職場環境改善について職場責任者の主体的な取り組みが期待できるメリットがあります。個別フィードバックにおいては、管轄する部署についてより詳しく強み/弱みを確認し、具体的に何から取り組めばよいのか相談することができます。

実際に、産業保健スタッフが全ての職場を訪問し、組織長と面談する場を設け、対面でフィードバックを行うことで、職場環境改善への取り組みがうまく進んだという事例があります。

個別フィードバック時に伝える内容

1、ストレスチェック制度・集団分析の目的概要
2、集団分析の見方・活用方法
3、全社の結果の確認
4、管轄部署の結果から強み/弱みの把握
5、職場環境改善の取り組み方
6、改善のための具体的な立案方法
7、質疑応答・相談対応

個別フィードバックの担当者について

個別フィードバックで伝える内容は以上の通りですが、誰が担当するかによって、伝える内容の比重が異なってきます。

細かいことにも対応できることが個別フィードバックのメリットです。部署ごとに適切に対応できる担当者を割り当てることで、効果的な解決につながります。

担当者 主な対応内容
産業医 職場環境改善について
産業保健スタッフ 本人や従業員の健康相談について
人事管理責任者 人事管理について
総括管理監督者 業務内容や量的負担について
外部資源の職場環境改善の専門家 職場環境改善について

おわりに

ストレスチェックの集団分析結果のフィードバックにおいては、管理監督者が職場環境改善に主体的に取り組んでもらえるよう、集団分析結果の見方や職場環境改善の具体的な方法について伝え理解してもらうことが重要です。継続することで、管理監督者の職場環境改善への意識の変化や、全社の健康リスクの改善が期待できます。従業員が働きやすい職場づくりのためには、全社をあげて主体的に取り組むことが大切です。(参照)
『実践!ストレスマネージメント』渡辺洋一郎 

これからはじめる職場環境改善』(厚生労働省)


ストレスチェック8年間の経験と40万人の実績がある日本CHRコンサルティングでは、厚労省ストレスチェック制定委員メンバーの精神科産業医が運用を整備し、300社以上のストレスチェック支援経験のある組織コンサルタントが職場環境改善をサポートします。全国対応しております。お気軽にお問い合わせ下さい。

職場環境改善までサポート!ストレスチェック委託は、CHR

記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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