朝の吐き気はストレスが原因?対処法や病院にいくべき兆候は?

朝の吐き気はストレスが原因?対処法や病院に行くべき症状は? メンタルヘルス

朝になると、なんだかムカムカして吐き気がする・・・・・・、
通勤途中の電車で、吐き気がして実際に吐いてしまったらどうしよう・・・・・・、

朝から吐き気がするという症状があると不安になりますよね。
朝の吐き気については様々な原因が考えられます。

今回は朝の吐き気について考えられる原因と対処法についてお伝えいたします。

朝の吐き気はストレスが原因?

胃腸の働きは、心の状態に影響を大きく受けやすいため、吐き気はストレスが原因でも生じる場合があります。

不安やストレスを抱え、それが改善されないまま放置すると、精神面での疾患だけでなく、身体面での疾患に至ることがあります。

朝に吐き気を感じやすい理由

睡眠不足と自律神経の乱れ

特に朝に吐き気を感じやすい理由としては、ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れが考えられます。

日常生活においてストレスを抱え続けると、心配や不安で夜なかなか眠れないということがあると思います。心配や不安は交感神経を優位な状態にし、心身ともにリラックスできず睡眠の質の低下や不眠に繋がります。

睡眠不足により自律神経が乱れると、胃や腸が正常に動かなくなり、吐き気の他、胃痛、便秘、下痢など胃腸障害を引き起こすことがあります。

 

逆流性食道炎

朝起きると胃が痛くて吐き気がする、喉の奥に酸っぱいものがこみ上げてくる、胸焼けが続いてムカムカと吐き気がする・・・。

このような症状は、逆流性食道炎の場合があります。逆流性食道炎とは、胃酸が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす病気です。

空腹時に吐き気の症状がある場合が多いため、朝方の吐き気の症状は逆流性食道炎の可能性もあります。

健康な人でも胃酸の逆流がみられることはありますが、大抵は時間が短いため問題になることはありません。しかし、慢性的に逆流が続くと、食道に炎症を起こすようになります。

以前は高齢者に多いとされていましたが、現在では年齢を問わず罹る病気です。

 
ドクター渡辺 (精神科医)
ドクター渡辺 (精神科医)

胃の不調は様々な原因が考えられます。
他の重大な病気が隠されていることもあるので、
気になることがあったら躊躇わず、早めに医師に相談することをおすすめします。

朝の吐き気と自律神経失調症との関係

自律神経失調症とは、ストレスなどが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れて起こる、様々な身体の不調のことを指します。

自律神経とは

神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。

末梢神経は意思によって身体の各部を動かす「体性神経」と意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する「自律神経」に分けられます。暑いときに手で仰ぐのは体性神経、汗が出るのは自律神経の働きです。

この自律神経は、交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれています。交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。これらが互いにバランスを取りながら身体の状態を調節しています。

自律神経失調症の主な症状

吐き気も自律神経失調症の代表的な症状のひとつですが、その他に次の様な症状があります。

● 倦怠感・疲労感
● 微熱が続く
● しびれ
● 耳鳴り
● 動悸・息切れ
● めまいがする
● 頭が重い・頭痛
● 眠れない
● ひどく寝汗をかく
● 食欲不振・胃痛・吐き気
● 肩こり
● 背中が痛い・腰痛
● 腹痛・下痢・便秘・腹部の不快感 など

自律神経失調症の原因

自律神経失調症は自律神経が正常に機能しないことによって起こるさまざまな「症状」の総称です。前述のように、自律神経は体のあらゆる部位に関係しているため、症状も多岐にわたります。

自律神経のバランスを乱す要因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり(交感神経の活動が強まりすぎて過緊張状態になっていることが多いです)、ストレスによる刺激、更年期におけるホルモンの乱れ(更年期障害)、先天的要因などが挙げられます。

知らぬ間にストレスを溜めていないかを確認

ドクター渡辺 (精神科医)
ドクター渡辺 (精神科医)

ストレスは知らぬ間に蓄積し、
心身の不調に気づかない場合もあります。

ストレスを溜めていないか、チェックしてみましょう。

 

次の項目に10個以上当てはまる症状が1週間以上続く場合は、心身が不調を訴えている可能性があります。

● まぶたがピクピクする
● 頭が重い、頭痛がすることが頻繁にある
● のどが痛い、詰まる感じがする
● 腹痛がある
● 何事にも興味がわかず、楽しくない​
● 布団に入ってもなかなか眠れない
● 眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める​

● おっくう、何もする気がしない​
● わけもなく不安な気持ちがする​
● 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分がする​
● 気力、意欲、集中力の低下を自覚する​
● 疲れやすく、元気が出ずだるい​
● 食欲がない、もしくは必要以上に食べすぎてしまう​
● 人に会いたくない​​
● 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする

朝吐き気がしたときの対処法

ストレスが原因の場合

朝に吐き気があり、その原因がストレスの場合は、まずはリラックスすることが大切です。

● しばらく横になって安静を保つ
● 深呼吸してリラックスする
● 白湯やほうじ茶などカフェインレスの温かい飲み物を飲む

日常生活で注意すること

日々の生活習慣を整えることでストレスが軽減する場合があります。

● 睡眠を十分にとる
● 消化の良い食事を中心に良く噛んで食べる
● 辛味が強い刺激物や脂質が多いような胃に負担がかかる食事を避ける
● アルコールやコーヒー、紅茶などのカフェインを多く含む飲料を避ける
● 愚痴や悩みは1人で抱え込まず、家族や友人、カウンセラーに相談する

病院に行くべきタイミングは?

自律神経失調症の主な症状で挙げたような症状は、様々な疾患に共通してみられる症状です。気になる体の症状があるときは、まずは体の病気が隠れていないかどうか確認することが大切です。

吐き気と腹痛・吐き気とめまい・吐き気と頭痛など、併存する症状の違いによって疑わしい病気も異なりますし、自律神経症状自体が別の病気の一症状である可能性もあります。

「軽い症状だし…」「そのうち治る…」と思わず、まずは症状に応じた医療機関を受診しましょう。(もちろん並行してメンタルクリニックへの受診をすることも可能です。この場合は各医療機関での治療内容について他の受診先へきちんと伝えるようにしてください。)

体に特に問題がない、もしくは現在ある症状を起こすほどの状態ではないという場合には、自律神経失調症の可能性も含めて心療内科、精神科へご相談ください。

受診はハードルが高いと感じる方もあるかもしれませんが、メンタルヘルス不調が深刻化しさらに精神疾患なってしまうのを防ぐためにも、早めに対応をすることが大切です。

なお、下記2つの症状が、ほとんど1日中、毎日、1週間以上続く場合は、早めに精神科・心療内科を受診してください。

ストレスを示す特に注意すべき症状

■ 疲れているのに眠れない
■ 好きなことが楽しめない

この2つの症状が、ほとんど1日中、毎日、1週間以上続く場合は、精神科・心療内科を受診してください。

吐き気の他、強い頭痛や腹痛、胸の痛み、突然の背中や腰の痛み、ひどい嘔吐、身体に力が入らない、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、重篤な体の病気の可能性がありますので、早急に医療機関へ受診ください。

おわりに

朝の吐き気の原因と対処法についてお伝えしました。

吐き気は様々な原因が考えられますが、ストレスの場合はセルフケアなどでストレス解消を行うことも大切です。

また、悩みは1人で抱え込まず、誰かに話すということが大切です。

個人向け相談窓口(厚生労働省)

厚生労働省による「みんなのメンタルヘルス」では、こころの健康や病気、支援やサービス等、メンタルヘルス情報のポータルサイトです。相談窓口の案内等もあります。

ご案内
「みんなのメンタルヘルス総合サイト」の情報は、令和5年4月より国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」に掲載しています。
相談窓口案内|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
「こころの耳」(厚生労働省サイト)では、仕事やキャリア、こころの健康など、様々な悩みに関する専門の相談機関・相談窓口を紹介しています。

(参考)e-ヘルスネット健康用語辞典(厚生労働省)

記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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