コミュニケーションが苦手、得意なことと苦手なことの差が大きい、不注意によるミスが多いと思われる同僚や部下とうまく仕事をするために

コミュニケーションが苦手、得意なことと苦手なことの差が大きい、不注意によるミスが多いと思われる同僚や部下とうまく仕事をするために メンタルヘルス

職場には、 コミュニケーションが苦手、得意なことと苦手なことの差が大きい、不注意によるミスが多いといった同僚や部下が少なくありません。そして、こういったことがメンタルヘルス不調などによる一時的なものではなく、もともと持っているその人の特性ということもあります。

今回はこういった特性を持っている同僚や部下と職場でうまく仕事をするための方法についてお伝えしたいと思います。

それぞれの特性と配慮のポイント

発達障害と思われる従業員の特性と配慮のポイント

コミュニケーションが苦手なタイプ

主な特性
●相互的な対人関係やコミュニケーションが苦手
●興味や行動の偏り(こだわり)があることがある
●見通しが立たない状況に対する不安があり、見通しが立つ時はしっかり対応できることがある
●人混みや気温の変化などの感覚の敏感さに苦労することもある
配慮のポイント
●家族や本人をよく知る専門家などに適切なサポート方法をきく
●手順や方法をわかりやすく示す
●感覚過敏がある場合は、環境に配慮する

不注意によるミスが多いタイプ

主な特性

●不注意(集中力がない)
●じっとしているのが苦手、思いつくと即行動してしまう傾向があることがある
●次々と周囲のものに関心を持ち、周りの人よりも様々なことに意欲的に取り組むこともある
配慮のポイント
●家族や本人をよく知る専門家などに適切なサポート方法をきく
●何か伝える時は、簡潔にはっきりと伝える
●気が散りにくくなるような環境に整える

得意なことと苦手なことの差が大きいタイプ

主な特性

●「読む」「書く」「計算する」 「話す」などのうち、特定の事柄に困難がある
●言語的能力、数理的能力、空間判断力、形態知覚力、手指の器用さ、同時作業力などの間に能力差が大きいことがある
配慮のポイント
●家族や本人をよく知る専門家などに適切なサポート方法をきく
●情報の伝達においては、本人の得意な部分を積極的に使うように配慮する
これら特性は重なることもあります。
また、個人差がとても大きいといわれています。特性を理解されないためにうまく適応できない状況が続くと、うつ病など二次障害を発症してしまうことがあります。
したがって、こういった特性を持つ方においては、その人がどんなことが得意で何が苦手なのか、どのような個性があるのかに目を向け、適切な支援をすることで、本来の力を発揮することができます。
次に職場で起こりやすい困り事と対応方法について見ていきます。

職場で起こりやすい困り事と対応方法

発達障害と思われる従業員がいる職場で起こりやすい困り事と対応方法

コミュニケーションが苦手

職場で問題になりやすい特徴 支援策
報告・相談がない タイミングがわからない可能性があるため、
周囲から確認する。

報告してほしい内容を具体的に伝える。
場の空気を読めない
衝動的な発言がみられる
発言の意図について本人に確認し、理解をする。
必要に応じて都度指摘する。
電話対応が難しい 電話対応のフォーマットをつくる

スケジュール管理が苦手

職場で問題になりやすい特徴 支援策
期限までにできる仕事量がわからない 職場全体で業務スケジュールを共有し定期的に確認する
仕事の優先順位がつけられない 新しいことや複数のことをお願いするときは、
優先順位の指示も併せて行う
期限が守れない 周囲が進捗状況を確認する

ミスや不注意が多い

職場で問題になりやすい特徴 支援策
勘違いや思い込みが多い 体制と整える
臨機応変な対応が苦手 変更など生じた場合は、
その都度状況について説明し、
指示をする場合はシンプルに明確に行う
状況を読めず判断を誤る 状況が変わった時は、説明する

事例

発達障害と思われる従業員への対応事例

職場で起こりやすい困り事と対応方法について具体的な事例から解説します。

事例1:コミュニケーションがうまく取れない

悩み

●部下のAさんとコミュニケーションがうまく取れなくて困っている。
●伝えたいことがうまく伝わらず、指示したことも忘れているようだ。
●お願いしていた資料作成も出来ておらず、無理なら事前に相談してほしい。

周囲ができる対応方法

●口頭での説明を理解するのが苦手な場合は、メモやメール等で指示を伝える
●業務の期限や提出先について、いつ、どこで、だれになど、あらかじめメモのテンプレートなどを作成し使用させる
●相談のタイミングがわからない可能性があるため、周囲から進捗や状況について確認する

事例2:やり方にこだわり、周囲とトラブル

悩み

●部下が自分のやり方にこだわり、自分と違う方法で進めた人とトラブルになっている。
●部下のやり方は業務上問題があるため改めてほしいが、どのように伝えたらよいか困っている。

周囲ができる対応方法

●単純化した具体的な表現でルールやマニュアルを作成し、それに沿って指示を出す
●適切に業務を勧められているか、定期的に確認する
●ルールの理由・経緯を整理して、納得してもらってから、業務を行う
●業務上問題がある場合は、説明をし、きちんと指導を行う

事例3:スケジュール管理ができない

悩み

●部下に色々細かな業務を頼んでいるが、いつになっても何も出来上がらない
●毎日残業し忙しい様子だけど、何をやっているのかわからない

周囲ができる対応方法

●新しいことや複数のことをお願いするときに優先順位の指示も併せて行う
●職場全体で業務スケジュールや会議の予定等を共有し、ミスを防ぎやすく、業務調整をしやすい環境を作る
●進捗や期限について、周囲の方から声をかける
●事前に定期的に報告するタイミングを決めたり、業務フローのどの時点で報告すればいいのかルールを決めておく

おわりに

さまざまな個性や特性のために職場でうまく適応ができず、本人も周りも困ることが時にあります。こういったタイプの同僚や部下への対応や支援についてお伝えしました。
こういった特性は個性として誰でも多かれ少なかれ持っていることも少なくありません。素人判断で、病気だとか特別な人として決めつけないようにしてください。
また、こういった特性の中には医学的な対処で改善することもあります。したがって、産業医や保健師に相談してみることを勧めたり、上司として相談に行くことも考えてください。
いずれにしましても、人は一人ずつ個性や特徴があります。お互いが補い合う、支援しあう、そして、一人一人を生かせるような職場づくりが大切です。

ストレスチェック8年間の経験と40万人の実績がある日本CHRコンサルティングでは、厚労省ストレスチェック制定委員メンバーの精神科産業医が運用を整備し、300社以上のストレスチェック支援経験のある組織コンサルタントが職場環境改善をサポートします。全国対応しております。お気軽にお問い合わせ下さい。
職場環境改善までサポート!ストレスチェック委託は、CHR
記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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