レジリエンスとは何か?ストレスに強い人とストレスに弱い人との違いについて精神科医が解説!

精神科医が解説!レジリエンスとは何か?ストレスに強いひととストレスに弱い人との違い メンタルヘルス

テレビや雑誌で「レジリエンス」という言葉を聞くようになったけど、そもそもレジリエンスってなんだろう?

ストレスがあったら、避けるしかない!と思ってきたけど、もっといい対処法があるなら知りたいな。

 

ドクター渡辺 (精神科医)
渡辺先生
(精神科医)

それでは今回は、レジリエンスとは何か?を知ってもらうことで

ストレスに飲み込まれることなく対応する道があるということを説明します。

レジリエンスとは何か?

レジリエンスとは何か?

最近よく使われるようになった言葉であるレジリエンス。レジリエンスとは「外からのストレスを跳ね返す力」という意味です。様々な分野において用いられていますが、心理学の世界では、「精神的な回復力」という意味で使用されます。

具体的には、レジリエンスとは、ショックな出来事やネガティブと思われる状況に直面したとき、心を落ち着かせ精神的な安定を保ち、適切な対応ができる能力のことを指します。

 

渡辺先生(精神科医)
渡辺先生
(精神科医)

見方を変えると、レジリエンスとは「障壁を乗り越えるために必要な力」ともいえます。

それではストレスに強い人、すなわちレジリエンスがある人とストレスに弱い人との違いのはどこにあるのでしょうか?国内外の研究結果から見ていきたいと思います。

ストレスに強い人とストレスに弱い人|その差は何?

例えば、病気と環境との関係について、人々が病気になりやすいという環境があるということは、研究によって明らかになっています。しかし一方では、同じような環境を体験しても、病気にならない人もいます。その差は一体何なのでしょうか?

ストレスに強い人、すなわちレジリエンスがある人の特徴には、次の要因があるようです。

自尊感情

自尊感情とは、自分は価値のある存在だと思える感覚、自己に対する肯定的な感情です。

自尊感情を育てるために次の2つのことが特に重要とされています。
・周りから受け入れられているという体験
・小さくても成功体験を積み重ねていくこと

安定した愛着

安定した愛着とは、良好な母子関係に見られるように、子どもが安心・安全を感じ、そこから発達する他者へつながる力です。

ユーモアのセンス

本当は避けたいけど起きてしまった出来事を拒絶や拒否せず、受け入れざるを得ないものと、視点を変えて笑いを交えて受け入れるようなユーモアのセンスがあることで、深刻さから解放されることもあります。

楽観性

楽観性とは、ネガティブな出来事に直面しても、この状況を受け入れた上で、これを変えるためには何ができるか問い、変えるために適切に行動できるということです。

対人関係能力

対人関係能力とは、社会的なスキルや問題解決能力、欲求を抑制する力などのことを指します。

これら5つの要因がある人は、ストレスに強い傾向があると精神科医のアーミッドは提示しています。

日本の大学生を対象に、ストレスに強い学生と低い学生を比較した研究があり、次にこの研究から、両者の違いについて見ていきます。

レジリエンスがありストレスに強い人の特徴

日本の大学生を対象に、ストレスに強い学生と低い学生を比較した研究があります。

レジリエンスがありストレスに強い人の傾向についてこの研究は次のように提示しています。

  • 他者と比べず、自分の悪いところを否定的ではなく改善すべき点として捉える
  • 日々の課題や高い目標を肯定的に捉え、積極的に取り組む
  • 他者の援助を受け入れたり、悩みを他者に打ち明けたりする
  • 努力して目標を達成することが、自分の成長でありそれ自体を楽しいと捉える

ストレスに強い人の傾向が明らかとなりましたが、ストレスに弱いような場合は改善することはできるのでしょうか?

ドクター渡辺 (精神科医)

渡辺先生
(精神科医)

ストレスに強いという要因は、自分自身で育てることができる能力です。
ストレスに強くなる方法については、本サイトで様々な角度から紹介していきますが、この記事では、すぐに実践できる方法を紹介します。

今すぐできる!ストレスに強くなる方法

今すぐできる!レジリエンスを高める方法

レジリエンスがありストレスに強くなるために、今すぐに実践できることは、睡眠運動です。

ストレスに強くなる方法|睡眠

レジリエンスに関する様々な研究をみてみると、睡眠との関係が指摘されています。

睡眠の質がよい場合、問題が直面したとき、必要以上に深刻に受け取らず、積極的に行動ができます。しかし、睡眠不足や睡眠障害などうまく取れていないと、悲観的に出来事を認識し、適切に行動もとれなくなってしまいます。

眠れない時に眠る方法|不眠の原因と対処法
明日朝早いのに眠れない、疲れているのに寝付けない、考え事がぐるぐるして止まらない・・・・・・。眠りたいのに眠れない時、焦りが高まって、ますます眠れないことに。 厚労省の調査によれば、日本人の21.7%が慢性的な不眠を訴えており、睡眠で...

ストレスに強くなる方法|運動

運動習慣がある人の方が、ストレスに強くなるという報告があります。ショッキングな出来事があると、思考をフル回転させ、深刻さを加速させることが往々にしてあります。

そのような時は、思い浮かぶアイディアも悲観的になりがちです。身体が自由に動く場合は、散歩や軽い運動でリフレッシュすることがとても重要です。

ドクター渡辺 (精神科医)

渡辺先生
(精神科医)

散歩や軽いジョギングなど、身体を動かしてみると、自分を幸せにするようないいアイディアが浮かびやすくなります。

おわりに

この記事では、レジリエンスとは「ストレスをはね返す力」であることを説明し、レジリエンスがありストレスに強い人の特徴・要素について明らかにしてきました。

レジリエンスは自分で育てることができます。今後の記事でレジリエンスを育てストレスに強くなる方法について紹介していきます。

 

(出典:『実践!ストレスマネージメント』渡辺洋一郎 p.3-7

 

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記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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