ストレスコーピングとは?実践方法や具体例を精神科産業医がわかりやすく解説!

ストレスコーピングとは何か ストレスコーピング

ストレスコーピングとは、ストレスの基となっているもの(ストレッサー)にうまく対処しようとすることをいいます。

ストレスコーピングにはストレス処理の段階に応じて5つの方法があります。

ストレスにおける3つの段階と5つのストレスコーピングの型との関係についてはこちらの記事を参照してください。

ストレスマネージメントとは?ストレスにおける3つの段階と5つのストレスコーピング
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今回は5つのストレスコーピングと実践方法や具体例について説明します。

5つのストレスコーピングの種類と型

ストレス処理には3つの段階があります。
1段階目:問題の解決を図る
2段階目:認知を変える
3段階目:ストレス反応の軽減を図る

ストレス処理の段階応じてストレスコーピングは5つの型があります。

問題焦点型ストレスコーピング

ストレス処理の1段階目ではストレスを引き起こしている問題の解決を図ります。この段階に対応するストレスコーピングは「問題焦点型ストレスコーピング」です。

問題焦点型ストレスコーピングとは、ストレスになっている問題そのものの解決を試みることをいいます。例えば、人間関係においてストレスを感じている場合、ストレスを感じている人間関係そのものの改善を図ることが本質的な解決となります。

問題焦点型ストレスコーピングの具体例と実践方法

【具体例①】上司や同僚に思っていることが言えず同調してばかりでストレスになっている
(実践方法の例)
→自分の考えや感情を整理し、適切に発言できるようにする
→お互いに理解しあえるよう話し合いをする

【具体例②】英語が苦手なのに、海外出張を命じられてとてもストレスを感じている
(実践方法の例)
→英語を勉強して英語力をつけ、苦手意識を払拭する

【具体例③】以前のトラブルから関係が悪くなってしまった同僚と一緒に仕事をしなくてはいけなくなり、ストレスを感じている
(実践方法の例)
→ストレスを感じている場合にその同僚とじっくり話し合って、関係を改善させる

認知修正型ストレスコーピング

認知修正型ストレスコーピング

ストレス処理の2つ目の段階では、認知を変えることを試みます。認知とは、自分にとっての意味付けや受け取り方のことをいいます。

例えば、自分にとって無意味なものと思っていた業務内容が、別の角度からみたら自分にとって成長につながると認識を転換できれば、嫌だと感じていた仕事がストレスではなくなります。

このように認知を修正するストレスコーピングを「認知修正型ストレスコーピング」といいます。

認知修正型ストレスコーピングの具体例と実践方法

ネガティブな現実に直面しても、異なる視点で見てみることで、認知(受け取り方)が変わると、自然に気持ちが変わります。

【具体例】仕事で失敗し、取引先の方から怒られてしまった
(実践方法の例)
失敗したという事実で落ち込んでしまう場合・・・・・・
「失敗から学べるところがあるはずだ」という視点に気づくことが重要です。その視点に気付けば失敗は悪い面だけではないことが認識されるようになり、気持ちもかわっていきます。

怒っている取引先の人を見て「そんなに怒らなくてもいいのにひどい人だ」と感じる場合・・・・・・「仕事に熱心な人なんだ」という視点に気が付けば、落ち込みや怒りの気持ちが薄れていきます。そういったネガティブな気持が薄まれば自然に前向きな気持ちがでてきて、「今度は万全の努力をしよう」といった前向きな行動につながります。

このように、いろいろな視点で物事を認知すれば自然に別の感情が生じ、適切に行動をとることができます。

感情処理型ストレスコーピング

感情処理型ストレスコーピング

ストレス処理の3つ目の段階ではストレス反応の軽減を図りますが、これは一般的にいわれる「ストレス解消行為」です。

ストレス解消する段階においては、大きくわけて、2つのストレスコーピングがあります。

ひとつは、「感情処理型ストレスコーピング」。もうひとつは、「充電・活性化型ストレスコーピング」です。

感情処理型ストレスコーピングは、自分の気持ちを話し、他者に聴いてもらうことによって気持ちを発散させることで怒りや不安などの情動を低減する方法です。「愚痴を聞いてもらってすっきりしました」といったことが代表的なものです。

感情処理型ストレスコーピングの具体例と実践方法

【具体例】納得できないことがあり、イライラが止まらない
(実践方法の例)
→友達に自分の気持ちを聞いてもらう
→産業医やカウンセラーなど専門家に相談する

充電・活性化型ストレスコーピング

充電・活性化型ストレスコーピング

ストレス反応の軽減を図るもうひとつの方法は、「充電・活性化型ストレスコーピング」です。

これは一般的にいわれるストレス解消行為にあたります。ストレスの解消方法は様々ですが、エネルギーを充電して、活力の活性につながるような方法を日々取り入れリフレッシュすることが重要です。

充電・活性化型ストレスコーピングの具体例と実践方法

【具体例】何かいつもイライラしている、なんとなく疲れている
(実践方法の例)自分なりにストレス発散できる方法を見つける。
例えば・・・
ゆっくり過ごす、睡眠をしっかりとる、
ヨガやストレッチ・散歩などでリラックスする、
スポーツや旅行、外食、映画等趣味でリフレッシュする など。

支援探索型ストレスコーピング

支援探索型ストレスコーピング

最後の「支援探索型ストレスコーピング」は、ストレス処理の3つの段階(①問題の解決を図る ②認知を変える ③ストレス反応の軽減を図る)すべてに当てはまります。

支援探索型ストレスコーピングとは、自分のストレスになっている問題を解決するために、友人や家族の他、関係機関や専門家への相談や、情報の収集、助言を受けるという行動をいいます。

支援探索型ストレスコーピングの具体例と実践方法

家族や身近な友人、上司や同僚、専門家などに相談し情報を収集します。相談相手を多く作っておき、様々な分野で相談先があると、ストレス処理が円滑に進みます。

おわりに

以上、5つのストレスコーピングとその方法や具体例について説明してきました。

自分が感じているストレスの基はどこにあるのか確認し、適切なストレスコーピングを実践することが重要です。またひとりで抱え込まず周囲や専門家に相談することも素早い解決に繋がります。

(出典:『実践!ストレスマネージメント』渡辺洋一郎 p.57-94

ストレスチェック8年間の経験と40万人の実績がある日本CHRコンサルティングでは、厚生労働省ストレスチェック制定委員メンバーの精神科産業医によるストレスコーピングなどのメンタルヘルス研修を実施しております。オンライン開催も実施しており、全国対応しております。お気軽にお問い合わせ下さい。

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記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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