厚生労働省では50人未満の事業場へのストレスチェック導入に向けて「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」の作成が進められています。
50人未満の事業所においても、労働者のプライバシーを守りつつ、無理なく制度を活用できるよう支援することが目的です。
背景と目的
厚生労働省が「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」の作成に着手しています。50人未満の事業所でも労働者のプライバシーを守りつつ、実効性のある制度運用を支援するための施策です。今回、マニュアル作成のためのワーキンググループが設置され、より具体的な検討が進められることが周知されました。厚生労働省
ワーキンググループの構成
構成は、有識者(医師、大学教授など)、事業者団体、労働者代表がバランス良く参画しており、必要に応じて構成員以外の関係者の出席を求めることができるとされています。議事録や資料の原則公開としつつ、必要に応じ非公開での討議も可能としています。
今後のスケジュール概要
以下のように、令和7年度から令和9年度にかけて段階的に準備が進みます。
◇令和7年度 ──────────────────────────────
・労働安全衛生法改正公布(5月)
・第8回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会(8月20日)
・マニュアル作成ワーキンググループ開催(9~11月にかけて4回程度)
・第9回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会(年内予定)
◇令和8年度 ──────────────────────────────
・マニュアル公表
・周知活動(セミナー・配布など)
◇令和10年度 ──────────────────────────────
・50人未満の事業場にてストレスチェック義務化(施行)
・実務運用開始
主な動きと事業場のスケジュール
年度・時期 | 主な動き | 事業所がやること |
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令和7年(2025年) | 法改正公布(5月) 検討会・ワーキンググループ開催 |
制度概要を把握し、経営層に共有 |
令和8年(2026年) | マニュアル公表~周知活動~ | 自社の体制確認、準備本格化 |
令和10年(2028年) | 制度施行(義務化開始) | 実施フロー確立、従業員周知 |
チェックポイントとアクションプラン
今すぐできる準備
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経営層・産業保健スタッフにストレスチェック義務化への理解を促進
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業務負担やプライバシー面への課題抽出
義務化への理解の促進については、以下の記事をご参照ください。
マニュアル公表後(令和8年度以降)
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マニュアルの配布や説明会の実施
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小規模事業場特有の簡便な実施手順やツール活用の検討
施行開始前(令和9年度以降)
- トライアル運用を通じた実務上の調整
- 従業員への案内資料、FAQの整備
おわりに
50人未満の事業所にとって、ストレスチェックの義務化は負担にも感じられるかもしれません。
しかし、ストレスチェック制度の主な目的は、従業員のストレス状態を早期に把握し、重症化する前に対応する「一次予防」にあります。ストレスチェックは、心や身体の健康に問題が起きてから対応するのではなく、問題をできるだけ早期に発見し、対処するためのきっかけになります。
計画的な準備と柔軟な対応によって、従業員の心の安全を守りながら、スムーズに導入できるようにしっかり備えておきたいところです。