職場の人間関係や業務内容など、仕事でストレスを抱えてしまい、休みの日も仕事のことで頭がいっぱいになってしまうことはないでしょうか。
ストレス解消が大切と言われても、自分にあった解消法が見つからないこともあるかと思います。
特に職場のストレス解消法については、原因から適切に対処することが大切です。なぜなら、原因を理解せず、気を紛らわせるだけのストレス解消法を実践しても、逆にストレスを蓄積させてしまう恐れがあるからです。
今回は、具体的な例からストレスの原因を確認し、職場の効果的なストレス解消法について解説いたします。
ストレス発生のメカニズム
ストレスを解消するには、ストレス発生のメカニズムを理解することが大切です。
というのは、ストレス発生のメカニズムを理解することで、自分にとって効果的なストレス解消法はどのようなものかがわかりやすくなり、それを実践することでストレス軽減に結びつくからです。
ストレスとは
ストレスとは、刺激を受けた時に生じる、心や体のゆがみということができます。
ストレスの原因となる刺激や出来事をストレッサーといます。そしてストレッサーによって生じた心身のゆがみをストレスと言います。
ストレッサーの種類
私たちの心や身体に影響を及ぼすストレッサーは、大きく分けて3つあります。
物理的ストレッサー | 温度による刺激、騒音などによる刺激 |
化学的ストレッサー | 酸素の欠乏・過多、薬害、栄養不足など |
心理・社会的ストレッサー | 人間関係のトラブル、精神的な苦痛、 怒り、不安、憎しみ、緊張など |
普段私たちがストレスと言うものは、「心理・社会的ストレッサー」のことが示されています。
特に職場においては、仕事の量や質、人間関係等、様々な要因が「心理・社会的ストレッサー」となり得ます。
それでは、職場のストレスの原因とその解消法について見ていきます。
職場のストレスの原因
ストレスといってもその原因は様々ありますが、大きく3つに分けることができます。
仕事のストレス
個人的な要因
仕事以外の要因
ストレスの原因は複合的に絡み合うことがほとんどですが、取り組みやすいところから着手し、ストレスの軽減を試してみることをおすすめします。
それではストレスを解消する方法はどのようなものがあるのでしょうか。
ストレス解消の3段階
「ストレス解消」というと、スポーツなど身体を動かす、友達と飲みに行く、アロマなどお気に入りの香りでリラックスするなど思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
しかし、これはストレス解消の1つの段階に過ぎません。ストレス解消、すなわちストレス処理には3つの段階があります。
2段階|認知を変える
3段階|ストレス反応の軽減を図る
1段階|問題の解決を図る
1段階目の問題の解決を図るとは、ストレスの原因となっている問題を直接解決することです。
例えば異動先での仕事のやり方が馴染めずストレスを感じている場合、仕事のやり方について上司や同僚に相談することで仕事がやりやすくなり、ストレス状況が解決することに繋がります。
2段階|認知を変える
ストレス処理の2つ目の段階は、認知を変えるということです。
自分にとってストレスでありネガティブだと思っている状況は、本当にそうであるか、意味づけを改めて考えてみるということです。
例えば、上司に「簡単なミスをしている」と注意されたとき「上司は怒っている気がする。どうしよう」と捉えると焦り、それがストレスに繋がります。
しかし、受け取り方を変え、「ミスに気が付けてよかった。上司は簡単なミスに気付くほど仕事をきちんとみてくれる」と捉えると前向きに取り組み、ストレスが軽減されます。
3段階|ストレス反応の軽減を図る
ストレス処理の3つめの段階の「ストレス反応の軽減を図る」ことです。
これが一般的にいわれる「ストレス解消行為」です。
例えば、納得できないことがありイライラが止まらないときは、友達やカウンセラーに話を聞いてもらうことで冷静になれたり、様々な気づきを得ることができたりします。
ここまでストレス発生のメカニズム、職場のストレスのおおまかな原因とストレス解消の段階について確認し、ストレスとストレス解消法についての概要を理解していただきました。
以上を踏まえて、次にストレスの原因と解決方法について具体的な例とともに探っていきましょう。
ストレスの原因と5つのストレス解消方法
ストレスの原因を解決する「問題解決焦点タイプ」
ストレスの原因とその解消方法について、ストレスに感じている原因は自分自身で解決できることかどうか確認します。
もし、自分自身で問題を解決できることがストレスの原因となっているならば、その原因を取り除っくために行動をとります。
「問題解決焦点タイプ」原因と解決方法
【ストレスの原因】職場の人間関係にストレスを感じている
(解決方法の例)
→自分に直接不利益が生じていなければ、業務に支障がない程度まで、その人間関係から距離を置く。
→上司や友人、家族等に悩みを話す(話すことで、問題が整理され解決方法に気づくことに繋がります)。
→具体的なトラブルが生じている場合は、上司に報告、相談する。
【ストレスの原因】異動や転職などで新しい仕事についていけない
(解決方法の例)
→高すぎる目標を設定していないか見直し、 スモールステップで取り組む
→新しい職場の上司や同僚に質問や相談をする
→苦手なことやできないことは、一人で抱え込まず周囲のサポートを求める
ストレスの原因が自分自身で問題解決できることであっても、解決方法を実行できないことがあると思います。
実行できない自分を責めてしまうと、それ自体がまたストレスの原因となってしまいます。
そのため可能な範囲で実践してみる、疲れているときは無理して解決しようとしないというように余裕をもって取り組むことをおすすめします。
物事の捉え方を変える「認知修正タイプ」
ストレス解消法の2つめとして、ストレスと感じる物事の捉え方を変えることが挙げられます。
起きた事実に対して、ポジティブかネガティブかを決めるのは、私たちのものの見方です。もしネガティブに受け取った場合、私たちはネガティブな気分になり、適切な行動を選択できなくなることもあります。
適切な行動をとらなかった場合、さらに状況は悪化しかねません。このようなことを回避するためにも、ものの見方、すなわち認知を見直すことは有用です。
「認知修正タイプ」の解決方法
認知修正タイプの場合は、事実にもとづいて考え、認知のかたよりに気づくことが大切です。
私たちは、ある状況に直面したとき、過去の経験から「これは、こうにちがいない」と自動的に判断しがちです。このような自動思考による認知の歪みには次のようなものがあります。
- 少しでもミスがあると「すべて失敗」と思い込み全否定する。
- 「朝は7時に出勤すべき」と決めていて,体調が悪く定時ギリギリの出勤になってしまった自分を責める。
- 挨拶をしたのに上司が挨拶を返してくれなかった→「上司は私のことを疎ましいと思っているに違いない」
このような認知の歪みに気づき、認知を修正し、適切に行動することが大切です。
例えば、上司に「ケアレスミスをしている」と注意されたとき「上司は怒っている気がする。どうしよう」と捉えると焦ってしまうような場合は、「ミスに気が付けてよかった。上司は簡単なミスに気付くほど仕事をきちんとみてくれる」と捉えると前向きに取り組むことができます。
ここまでご紹介した問題解決焦点タイプと認知修正タイプは、ストレスの原因となるものを解決することで、ストレスの解消をはかるものでした。
次に、ストレスによって生じた心身の反応、ストレス反応を軽減するストレス解消法をご紹介します。ストレス反応を軽減するストレス解消法には「感情処理タイプ」と「充電・活性タイプ」があります。
気持ちを切り替える「感情処理タイプ」
感情処理タイプのストレス解消方法とは、友達や家族に自分の気持ちを聴いてもらったりすることで、感情を表に出し、ストレス反応である怒りや不安を低減させる方法です。
「感情処理タイプ」ストレス反応と解決方法
【ストレス反応】仕事でのイライラが止まらない
(解決方法の例)
→友人や家族に今の自分の気持ちを聴いてもらう
→産業医や相談窓口など専門のカウンセリングを受ける
ストレス発散する「充電・活性タイプ」
「充電・活性タイプ」は、運動や好きな趣味等を通じて、ストレスを発散することです。
3つのストレス発散方法
ストレス発散方法は、大きく3つに分かれ、「3つのR」とも呼ばれます。
【3つのR】
Rest(レスト) 休息、特に睡眠をとり、エネルギーの充電と心身のバランスの回復
Relaxation(リラクゼーション) 身体の緊張緩和をし、精神の緊張緩和につなげる
Recreation(レクリエーション) 自分の好きなことを楽しみ、活力の活性化
自分の状況に合わせて、お気に入りの方法を実践しましょう。
支援を知り求める「支援探索タイプ」
支援探索タイプでストレスを解消するということは、友人や家族、上司や相談機関などに相談したり、情報収集をしたりする方法のことです。
相談相手を多数持つことが重要です。というのも、仕事の問題、プライベートの問題、金銭、健康など様々な分野で相談できると、ストレス対処もうまくいくからです。
「支援探索タイプ」の具体例
- 効率の良い仕事の進め方を先輩に教えてもらう
- 体調の悪さについて産業医に相談し、対応を教えてもらう
- 研修に参加し、知識を得る
おわりに
私たちは仕事をする上で様々なストレスを感じることが多いと思いますが、職場でのストレスの原因と対処法を知ることで、効果的なストレス解消をすることができます。
しかし、一人で抱え込まず、家族や友人、産業医や保健師、外部相談窓口などに相談し、周囲の人に助けてもらうことも大切です。
特に症状が出ている場合は、なるべく早く専門家(精神科、心療内科)に相談することをおすすめします。
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