適応障害で仕事が怖いと感じた時の原因と対処法

適応障害で仕事が怖いと感じた時の原因と対処法 メンタルヘルス

異動や転勤などの環境の変化や、職場の人間関係などで仕事に行くのが怖い、そのように感じる方は少なからずいらっしゃいます。

仕事に対して不安や恐怖を感じることは、誰にでもあることです。しかし、その感情が強く、日常生活や業務に支障をきたしている場合は、適応障害という状態になっている可能性があります。

今回は仕事に対する恐怖心や不安について解説します。

「仕事が怖い」は適応障害?

仕事が怖いと感じることは、適応障害の一つの症状である場合があります。

適応障害とは

適応障害とは、何らかのストレスがきっかけとなって日常生活に支障をきたしている状態で、代表的な症状として、不安、抑うつ、イライラ、無気力、不眠、食欲不振などが挙げられます。 

適応障害の原因は人それぞれですが、一般的には、人間関係の悩み、学校や職場の問題、家庭や経済の困難、災害や事故などが挙げられます。

ストレスとなる出来事明らかなことが一般的でまたこのような症状が現れるのは一時的であり、原因となっているストレスを取り除くことができれば、症状長く続かないのが特徴です。

もし6か月間以上続いているようなら、うつ病などほかの病気の可能性もあります。

原因となるストレスからうまく離れることが、改善・回復のポイントです。 

「仕事が怖い」と感じる場合

仕事が怖いと感じる場合は、仕事に関するストレスが原因となっている可能性について改めて振り返ってみましょう

仕事に関するストレスには、人間関係や業務内容、職場環境、異動や昇進・転勤による環境の変化など様々な要因があります。

仕事が怖いと感じ、自分の能力や価値を低く見積もってしまったり、失敗や批判を恐れて本来の能力を発揮できなかったりすることで、自信を失い悪循環に陥ることもあります。

仕事であらわれる適応障害の主な症状

適応障害によって引き起こされる症状は個人によって異なることがありますが、以下に一般的な適応障害の症状の例を挙げてみましょう。

「いままでと違う」と感じたら要注意

  1. 集中力の低下: 仕事に集中できない、注意散漫になるなど、業務遂行に支障をきたすことがあります。ミスも増えやすくなります。

  2. 疲労感: 継続的な疲労感や倦怠感があり、パフォーマンスが低下することがあります。

  3. 不安と緊張: 仕事に対する不安や緊張が増加し、業務を遂行する際に不快な感情が広がることがあります。

  4. イライラや怒り: 小さなことでもイライラや怒りを感じやすくなり、職場での対人関係に悪影響を及ぼすことがあります。

  5. 体の不調: 頭痛、胃の不調、身体の痛みなど、身体的な不調が現れることがあります。

  6. 自己評価の低下: 自分の能力や価値に対する評価が低くなり、自信を失うことがあります。

  7. 過度な負担感: 仕事に対する負担感が過度に強くなり、業務をこなすこと自体が困難に感じられることがあります。

  8. モチベーションの低下: 以前ほどのやる気や情熱を感じず、業務に対するモチベーションが低下することがあります。

  9. 孤立感: 他の人々とのコミュニケーションを避け、孤立感を感じることがあります。

  10. 睡眠障害: 不眠や過度の眠気、質の低い睡眠など、睡眠に関する問題が生じることがあります。

 

仕事が怖いと感じた時の対処法

仕事が怖いと感じた時、どのように対処したらよいのでしょうか。

自分の気持ちを認める

まずは自分の気持ちを認めることです。

「他の人も同じ環境で働いているから、私も頑張らなければ」など、人と比較して、今辛いと思っている自分の気持ちを抑えてしまう方も少なくありません。

仕事が怖いと感じるのは、自分の限界を超えている証拠です。無理をせず、自分に優しくなることが大切です。

重要な決断はしない

仕事が辛いと感じる時は、心身ともにエネルギーが不足しています。しっかり休養することが大切です。

仕事で気分が落ち込んでいるときは、今の仕事を辞めるという考えが思い浮かび、仕事を辞めるか、無理して続けるかの二者択一になるなど、選択の視野が狭まる傾向があります。

視野が狭いなかでの決断は、後々後悔に繋がる可能性があります。重要な決断を下す前に、まずは心身ともにしっかり休むことが大切です。冷静な状態で状況を見つめ直し、専門家や信頼できる人に相談することで、より適切な判断ができるでしょう。

ストレスの原因を考えてみる

自分が何に対してストレスを感じているのか、具体的に分析してみましょう。ストレスの原因を明確にすることで、解決策を考えやすくなります。

仕事がストレスの原因である場合、仕事内容や人間関係、職場環境など、何がストレスになっているのかを明確にすることで、対処法が見えてきます。

一人で抱え込まず相談する・話をする

悩みを自分だけで抱え込んでいると、さらに悪化する可能性があります。そのため、一人で悩まずに、信頼できる人に相談したり助けを求めたりしましょう。

家族や友人、同僚や上司など、自分の状況を理解してくれる人に話すことで、気持ちが楽になったり、アドバイスや支援を受けられたりすることがあります。

相談が直接的な解決に繋がらなかったとしても、信頼できる人に気持ちを話すだけでも安心感が得られ、心に余裕ができます。

また、産業医や社外相談窓口、厚生労働省が開設している相談窓口に相談することもおすすめします。

相談窓口案内|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
「こころの耳」(厚生労働省サイト)では、仕事やキャリア、こころの健康など、様々な悩みに関する専門の相談機関・相談窓口を紹介しています。

専門家に相談する

自分では解決できない場合や、気になる症状が続くような場合は、カウンセラーや精神科医などの専門家に相談しましょう。専門家に相談することで、適切な診断や治療を受けることができます。

このような症状が続くときは要注意

次のような症状がほとんど1日中、毎日、1週間以上続く場合は、医療機関への相談が急がれます。

■疲れているのに眠れない
■好きなことが楽しめない

上記の症状は、医療的なケアが必要である可能性が高く、早急に医療機関へ相談してください。

おわりに

仕事が怖いと感じるときは、自分を責めたり無理したりしないことが大切です。適応障害は放置すれば悪化する可能性があるので、「何かおかしい」と感じたら早めに対策を講じることが必要です。自分の心身の健康を優先して、自分に合った方法で対処してみましょう。

個人向け相談窓口(厚生労働省)

厚生労働省による「みんなのメンタルヘルス」では、こころの健康や病気、支援やサービス等、メンタルヘルス情報のポータルサイトです。相談窓口の案内等もあります。

相談窓口案内|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
「こころの耳」(厚生労働省サイト)では、仕事やキャリア、こころの健康など、様々な悩みに関する専門の相談機関・相談窓口を紹介しています。

 

セミナー実施数、年間120回を超える経験豊富な精神産業医が、予防から対応まで様々なメンタルヘルス研修を担当します。日本全国どこでも対応します。オンライン研修も実施中。

記事監修
渡辺 洋一郎(弊社代表取締役)

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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