2026年度の「健康経営優良法人」の認定申請が、2025年8月18日(月)から始まります。2026年度版の申請内容の詳細については2025年7月末時点ではまだ正式に発表されていません。
健康経営優良法人認定制度は、従業員の健康管理を経営的な視点から戦略的に実践している法人を「見える化」し、社会的に評価することを目的とした制度です。日本健康会議が認定を行っており、企業の取り組みが従業員や求職者、取引先、金融機関などからの信頼や評価につながる仕組みとなっています。
この制度では、企業の規模に応じて「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つが設けられており、それぞれの基準に基づいて審査・認定が行われます。
認定を受けた法人は、「健康経営優良法人」のロゴマークを使用できるほか、自治体や金融機関からのインセンティブ(融資や公共調達での加点評価など)を受けられるなど、様々なメリットがあります。
今回は、2026年度認定に向けた最新の申請スケジュールや基準、手続き方法について詳しく解説します。
申請スケジュール(2026年度版)
2026年度の健康経営優良法人認定の申請受付開始は、2025年8月18日(月)からです。
大規模法人部門 2025年8月18日(月)〜10月10日(金)
中小規模法人部門 2025年8月18日(月)〜10月17日(金)
以下は、現時点で公開されている申請スケジュールの概要です。
健康経営優良法人2026 認定に向けた主なスケジュール
8月18日(月):申請受付開始(大規模法人部門・中小規模法人部門 共通)
10月10日(金):大規模法人部門の申請締切
10月17日(金): 中小規模法人部門の申請締切
11月上旬:申請期間終了後、申請料の請求書を各法人へ送付
12月下旬:申請料の振込締切
12月末頃:大規模法人部門を対象にフィードバックシート速報版を送付予定
2026年3月中旬:認定法人の発表予定
申請準備は8月上旬までに着手を
申請受付開始は8月18日ですが、実際の申請では調査票の作成や社内確認、必要資料の取りまとめなど、事前準備に時間がかかることが想定されます。特に健康宣言事業への参加が必要な中小規模法人では、スケジュールの遅れが致命的になる場合もあります。
そのため、申請受付開始の1〜2週間前、8月上旬までに体制整備と準備作業を始めておくことが望ましいでしょう。
スケジュールは変更される可能性があるため、公式サイト「ACTION!健康経営」を随時確認しましょう。
申請の流れ
- 自社が「大規模法人」か「中小規模法人」かを確認
資本金や従業員数に応じて区分されます。 - 中小規模法人は「健康宣言」への参加が必要
加入している健康保険組合などが実施する「健康企業宣言」に参加しましょう。 - 申請IDを取得
「ACTION!健康経営」ポータルサイトでID登録を行います。 - 申請書(調査票)をダウンロード
過去の記載例を参考に、必要事項を記入します。 - 必要資料をそろえて提出
電子ファイルで申請書をアップロードします。 - 申請料の支払い
※参考:2025年度版の申請料金
中小企業:15,000円(税込16,500円)/大企業:80,000円(税込88,000円)など - 審査・認定
2026年3月頃に認定結果が通知されます。
申請に向けた今のうちの準備
申請開始前の段階で、以下の準備を進めておくとスムーズです。
- 社内の健康施策(健診、ストレスチェック、運動習慣など)の現状整理
- 経営者の関与や健康経営方針の明文化
- 施策の「効果測定」や「改善サイクル」の確認
- 過去の調査票サンプルを確認して記入練習
健康経営優良法人2026認定基準・認定要件
2026年度版の認定基準は、2025年7月末時点ではまだ正式に発表されていません。ここでは昨年度(2025年度)の認定要件を参考に、大規模法人部門と中小規模法人部門に分けてご紹介します。
申請準備を進める上での目安としてご活用ください。
大規模法人部門(2025年度参考)
大規模法人部門では、以下のような基準が設定されていました。
【認定要件の構成】
- 経営理念・方針
- 組織体制
- 制度・施策実行(選択式)
- 評価・改善(PDCA)
- 法令遵守・リスクマネジメント
主なポイント
- 健康経営に関する方針の策定と社外への公表
- 推進責任者や組織体制の明確化(産業医・保健師の関与含む)
- ストレスチェックや受動喫煙対策、特定保健指導などの実施
- KPIの設定と目標達成度の評価
- 経営戦略との連動性、取引先への健康経営の波及
2025年度は必須項目すべてを満たした上で、合計16項目中13以上を実施する必要があるとされていました。加えて、健康経営の普及活動や情報開示(報告書・ウェブ掲載など)も重視されます。
中小規模法人部門(2025年度参考)
中小規模法人部門では、より実践的で中小企業に取り組みやすい要件に設定されています。
【認定要件の構成】
- 経営理念・方針
- 組織体制
- 制度・施策実行(15項目中 一定数選択)
- 評価・改善
- 法令遵守・リスクマネジメント
主なポイント
- 「健康宣言」の実施と経営者の定期健診受診(必須)
- 健康づくり担当者の設置
- 定期健診・ストレスチェック・生活習慣改善などの施策
- 受動喫煙対策(必須)、長時間労働対策、女性の健康支援など
- PDCA(評価と改善)の実施
申請にあたっては、必須項目すべてを満たした上で、15項目中、会社の規模に応じて一定数以上の項目をクリアする必要があります。
健康経営優良法人とは
「健康経営優良法人」とは、従業員の健康管理を経営的な視点からとらえ、戦略的に健康経営を実践している法人を、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する制度です。従業員の健康を単なる福利厚生としてではなく、企業価値向上の柱として位置づける企業に与えられる認定制度です。
制度の歴史と背景
制度が創設されたのは2016年度です。もともとは2014年度より東京証券取引所が選定する「健康経営銘柄」がスタートし、上場企業を対象とした取り組みでした。しかし、未上場企業や医療法人、中小企業にも健康経営の必要性が高まり、より広く普及させるために創設されたのが「健康経営優良法人認定制度」です。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の健康を個人任せにせず、企業の経営戦略の一部として捉えて推進していく考え方です。従業員が健康で生き生きと働けることで、離職の防止や生産性の向上、職場の活性化、企業イメージの向上などにつながります。
健康経営に取り組む3つのメリット
- 生産性の向上:健康な従業員は業務効率が高く、欠勤や離職も減ります。
- 医療費の適正化:予防によって医療機関の利用が減り、企業の保険料負担や社会全体の医療費も軽減されます。
- 企業イメージとエンゲージメントの向上:従業員が大切にされていると感じ、エンゲージメントが高まり、採用や投資面でもプラスに働きます。
健康経営優良法人認定制度の目的
この制度の目的は、優れた健康経営を実践する企業を「見える化」し、社会的に評価される仕組みを作ることです。認定を受けることでロゴマークの使用が可能になり、自治体や金融機関などからのインセンティブを得られる場合もあります。
制度の主なカテゴリー
大規模法人部門(ホワイト500)
主に従業員数が301人以上(製造業など)の企業が対象です。
※業種によって基準が異なり、たとえば小売業は51人以上、卸売業は101人以上が対象となります。
健康経営度調査に基づき、認定企業のうち上位500法人が「ホワイト500」として選出されます。
中小規模法人部門(ブライト500)
上記の大規模法人の基準に満たない、従業員数300人以下程度の企業が対象です。
地域や業界における健康経営のロールモデルとして、認定企業の中から上位500社に「ブライト500」の称号が与えられます。
健康経営銘柄
健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する制度で、東京証券取引所に上場している企業の中から、健康経営に優れた企業が選定されます。選定は原則として1業種1社ですが、特に優れた企業が多い業種では複数社が選定される場合もあります。
おわりに
健康経営優良法人の認定を受けることで、企業のイメージ向上や採用力の強化、従業員の定着率改善など多くのメリットがあります。
2026年度の正式な認定要件はもうすぐ発表される見込みです。今のうちから準備を始めて、スムーズに申請できるようにしておきましょう!
今後の最新情報については、公式サイト「ACTION!健康経営」で随時確認できます。