ストレスチェック後の産業医面談は義務?目的・流れ・内容を解説

ストレスチェック後の産業医面談は義務?目的・流れ・内容を解説 ストレスチェック

ストレスチェック後の面接指導は企業にとって義務なのでしょうか。

従業員50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が義務付けられています。そして、その結果「高ストレス者」と判定された従業員が希望した場合、企業は産業医などの医師による面接指導を実施する必要があります。

今回は、ストレスチェック後の面接指導の義務について詳しく解説するとともに、実施の流れや人事担当者が押さえておくべきポイントを紹介します。

  1. ストレスチェック後の産業医面談とは?
    1. 高ストレス者はどのように選定されるのか
      1. 高ストレス者の選定方法
    2. いつまで実施する?
    3. 実施場所
  2. ストレスチェック後の産業医面談の目的
    1. メンタルヘルス不調の予防
    2. 職場環境への適応支援
    3. 業務負荷の調整
    4. ストレス対策の提案
    5. 企業のサポート体制の強化
  3. ストレスチェック後の産業医面談の内容
    1. 面接指導で確認すべき3つの重要事項
    2. 面接指導での医学的アドバイス
    3. 必要に応じた就業措置の提案
  4. ストレスチェック後の産業医面談は義務?
    1. 法律による義務の有無
    2. ストレスチェック制度の目的と重要性
    3. 高ストレス者の面談の必要性
  5. ストレスチェック後の産業医面談のメリットとは
    1. 従業員にとってのメリット
      1. メンタルヘルスの悪化を防ぐ
      2. 産業医からの適切なアドバイスを受けられる
      3. 業務負担の調整が可能になる
      4. ストレス対策の方法を学べる
      5. 企業のサポートを受けやすくなる
    2. 企業にとってのメリット
      1. 労働生産性の向上
      2. メンタルヘルス不調による休職・離職の防止
      3. 健康的な職場環境の維持
  6. ストレスチェック後の産業医面談の流れとは
    1. 面接指導の申出の勧奨
    2. 面接対象者から面接指導の申出
    3. 事業者から医師へ面接指導実施の依頼
    4. 医師による面接指導の実施
    5. 医師からの意見聴取
    6. 必要に応じ就業上の措置の実施
  7. ストレスチェック後の産業医面談の注意点
    1. 産業医面談はいつまで実施すべきか
    2. 産業医にはどのような情報を提供したらよいか
    3. 高ストレス者が産業医面談を申出ない場合はどうしたらよいか
  8. おわりに

ストレスチェック後の産業医面談とは?

ストレスチェック後の産業医面談とは、ストレスチェックの結果に基づき、高ストレス者と判断された従業員に対して実施される面談です。産業医が従業員のストレスの状況を把握し、適切なアドバイスや職場環境の改善提案を行います。

厚労省によるストレスチェック後の面接指導実施のためのマニュアルには次の通り記されています。

【本マニュアルにおける面接指導の基本的な考え方】  
高ストレスと判定された対象者が、対面による面接指導を経験することにより、産業医が対象者のストレスの状況を評価するだけではなく、自分のストレスの状況を振り返ることができ、今回は問題がないことが確認できた場合でも、メンタルヘルス上の問題を生じたときに産業医に相談をしようと思ってもらえる関係性を築けることを目的としています。
引用「医学的知見に基づくストレスチェック制度の適切な面接指導実施のためのマニュアル」(厚生労働省)

 

すなわち、高ストレスと判定された対象者が対面の面接指導を受けることで、産業医との話を通じて自身のストレスを振り返り、将来的に産業医と相談しやすい関係を築くことも面談の目的であると言えます。

高ストレス者はどのように選定されるのか

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された従業員が対象となります。

高ストレス者は、以下の①または②の条件のいずれかを満たす人が対象となります。

① 心身のストレス反応が強い人

「心理的な負担による心身の自覚症状」に関する項目の評価点数の合計が高い人

→ ストレスによる精神的・身体的な不調が強く出ている人。

→ 例えば、不眠、倦怠感、気分の落ち込み、イライラなどの症状が継続的に続いている場合、該当する可能性が高い。

②ストレスの影響が大きく、職場環境の要因が加わる人

「心理的な負担による心身の自覚症状」の評価点数が一定以上の人

かつ

「職場のストレス要因」および「職場での支援」の評価点数が著しく高い人

→ つまり、個人のストレスが高いだけでなく、仕事の負荷や人間関係の影響が大きく、支援が不足している人が対象になる。

【例:②に該当する人】

  • 仕事量が多すぎて追いつかないが、周囲からのサポートがほとんどない。
  • 職場の人間関係に問題があり、心理的負担が大きい。
  • 上司や同僚からのフォローがなく、孤立している状態。

このような場合、ストレスが一時的なものではなく、職場環境によって慢性的に悪化するリスクが高いため、高ストレス者として選定される可能性があります。

高ストレス者の選定方法

高ストレス者の具体的な選定は、実施者の意見や衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者が決定します。

  1. ストレスチェックの実施者(医師・保健師など)の意見をもとに基準を設定。
  2. 衛生委員会などの調査・審議を経て、事業者が正式に決定。

企業ごとに適切な基準を設定し、個々のケースに応じた柔軟な対応を行うことが求められます。

いつまで実施する?

ストレスチェックの結果を通知後、速やかに実施することが推奨されています。特に高ストレス者と判定された場合、1か月以内に面談を行うのが望ましいとされています。

面談の実施が遅れると、従業員のストレスがさらに悪化する可能性があるため、速やかな対応が求められます。

また、産業医面談は一度きりではなく、継続的なフォローアップを行うことで、従業員の健康状態を長期的に維持することが推奨されます。

実施場所

面談は、企業の会議室や産業医の診療所、またはオンラインで実施でき、企業が指定する適切な場所で行われます。

対面での面談が難しい場合、オンライン面談を導入する企業も増えており、特に在宅勤務が普及する中で、柔軟な対応が求められています。

面談の実施環境は、従業員がリラックスできる空間であることが重要であり、プライバシーが確保された場所で行うことが推奨されます。

ストレスチェック後の産業医面談の目的

ストレスチェック後の産業医面談は、過労やストレスを背景とする従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的として実施されます。ストレスが蓄積されると、業務効率の低下や体調不良の原因となるため、早期に対処することが重要です。以下のような目的で産業医面談が実施されます。

メンタルヘルス不調の予防

職場のストレス要因を特定し、従業員が精神的負担を抱えないようサポートします。特に、高ストレス者は早期対応が求められ、適切な助言を受けることで不調を未然に防ぐことができます。

職場環境への適応支援

従業員が快適に働けるように、職場の環境改善についてアドバイスを行います。例えば、業務の進め方や職場内の人間関係に関する相談を受け、適切な対応策を提案します。

業務負荷の調整

過重労働やプレッシャーによるストレスを軽減するため、業務負担の見直しを検討します。必要に応じて、労働時間の短縮や業務内容の変更について企業と協議し、適切な措置を取ることができます。

ストレス対策の提案

ストレス管理のための具体的な方法をアドバイスします。リラクゼーション法や適度な運動、カウンセリングの活用など、個々の状況に合わせたストレス軽減策を提供します。

企業のサポート体制の強化

産業医面談を通じて、企業側にも従業員のストレス状況を伝え、職場環境の改善につなげることができます。メンタルヘルス対策の必要性を企業に理解してもらい、組織全体でサポートできる体制を強化することが求められます。

ストレスチェック後の産業医面談の内容

ストレスチェック後に実施される面接指導では、医師が労働者の心身の状態や職場環境を詳しく確認し、適切なアドバイスを行います。

面接指導で確認すべき3つの重要事項

面接指導では、ストレスチェックの3項目に加え、次の3つのポイントを重点的に確認します。

① 勤務状況の把握

● 労働時間や業務内容を確認

→ 事業者から事前に情報を収集し、労働時間や業務量の過多がストレスに影響していないかを把握します。

● 職場の人間関係や業務の変化をチェック

→ ストレスの原因となる人間関係の問題や、前回の検査以降の業務や役割の変化を確認します。

● 周囲からのサポート状況を確認

上司や同僚からの支援があるかどうかを確認し、職場環境がストレス軽減に適しているかを見極めます。

② 心理的な負担の状況

● ストレスの影響度を分析

→ 「単なる疲れ」ではなく、慢性的なストレスによる精神的な影響が出ていないかを確認します。

③ 心身の健康状態の確認

● 過去の健康診断結果や現在の生活状況をチェック

生活習慣(睡眠、食事、運動)や既往歴を確認し、ストレスが健康に与える影響を総合的に評価します。

● ストレス関連疾患の可能性を考慮

→ うつ病やストレス関連の疾患(不安障害、適応障害など)の可能性がある場合、専門医の診察を勧めることもあります。

面接指導での医学的アドバイス

面接指導では、医師が医学的な視点から労働者へ適切な指導を行います。

① 保健指導(セルフケアのアドバイス)

● ストレス対処技術の指導

リラクゼーション法、マインドフルネス、運動習慣の見直しなど、ストレス軽減のための方法を伝えます。

● 気づきとセルフケアの促進

「自分のストレスのサイン」に気づくことが重要です。疲れが抜けない、イライラしやすい、気分が落ち込むなどの兆候を自覚し、早めに対処するよう指導します。

② 受診指導(医療機関の受診勧奨)

● 面接指導の結果、専門的な治療が必要と判断された場合

精神科や心療内科の受診を勧めることもあります。特に、抑うつ症状や強い不安が続く場合、早期の専門治療が重要になります。

必要に応じた就業措置の提案

産業医が面談の結果、従業員のメンタルヘルス不調が深刻であると判断した場合、一時的な業務負担の軽減や配置転換などの就業措置を提案することがあります。企業と協力して、従業員が無理なく働ける環境を整えることが求められます。

ストレスチェック後の産業医面談は義務?

ストレスチェック後の産業医面談が法的に義務化されているかどうかを詳しく解説します。企業の責任や、従業員の対応について理解を深め、適切な判断ができるようにしましょう。義務の有無や実施の必要性を知ることは、企業にとっても従業員にとっても非常に重要です。

法律による義務の有無

事業者は、従業員がストレスチェックの結果「高ストレス者」と判定され、本人が医師による面接指導を申出た場合には、医師による面接指導を実施する義務があります。

この義務は、労働安全衛生法およびその関連規則に基づいています。

労働安全衛生法 第66条の10(医師による面接指導)
(第1項) 事業者は、労働者に対し、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施し、その結果、一定の要件に該当する労働者(高ストレス者)が医師による面接指導を希望した場合、医師による面接指導を実施しなければならない。

つまり、ストレスチェック後に高ストレス者が申出た場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務を負います。

この義務は、企業が労働者のメンタルヘルスを適切に管理するための一環として設けられています。

ただし、従業員が希望しない場合は、義務とはなりません。

しかし、企業側は従業員の健康を守る観点から、積極的に産業医面談を勧奨することが望ましいとされています。

ストレスチェック制度の目的と重要性

ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を防ぐためのものです。産業医面談を適切に実施することで、メンタルヘルスの悪化を未然に防ぎ、職場環境を改善することができます。

また、メンタルヘルスの問題を放置すると、労働生産性の低下や長期的な欠勤につながる可能性があります。そのため、ストレスチェック制度は、企業が健康的な労働環境を維持し、従業員のメンタルヘルスをサポートするために欠かせない仕組みとなっています。

近年では、ストレスチェックをより効果的にするために、専門のカウンセリングサービスや職場環境の改善提案を組み合わせる企業も増えています。

高ストレス者の面談の必要性

高ストレス者は、メンタルヘルスの不調を抱えるリスクが高いため、産業医面談を受けることが推奨されます。面談を通じて、ストレスの原因を特定し、適切な対策を講じることができます。

ストレスの原因には、業務量の過多、人間関係の問題、勤務時間の長さなど、さまざまな要因が考えられます。

産業医面談では、従業員が抱える問題を整理し、必要に応じて職場の改善や業務内容の調整を企業に提案することが可能です。

加えて、従業員が自分のストレス状態を理解し、セルフケアの方法を学ぶ機会にもなります。そのため、面談は単なる義務ではなく、従業員の健康維持において重要な役割を果たします。

ストレスチェック後の産業医面談のメリットとは

ストレスチェック後の産業医面談を受けることで、従業員と企業双方にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれ解説します。

従業員にとってのメリット

メンタルヘルスの悪化を防ぐ

ストレスチェック後の産業医面談では、メンタルヘルスの悪化を未然に防ぐことができます。定期的な面談を通じてストレスの兆候を早期に発見し、適切な対処が可能となります。産業医からの助言を受けることで、従業員は自分のストレスレベルを理解し、健康的な職場生活を維持するための手段を学ぶことができます。

産業医からの適切なアドバイスを受けられる

産業医はストレスの原因を特定し、従業員が適切な改善策を講じるための専門的な助言を提供します。ストレスを軽減するためのカウンセリング方法、リラクゼーションテクニック、ライフスタイルの改善策など、個別の状況に応じたアドバイスが受けられます。必要に応じて、心理カウンセリングやストレス管理プログラムの活用についても提案がなされることがあります。

業務負担の調整が可能になる

ストレスの要因の一つに業務の負荷が挙げられます。産業医面談を通じて、企業と協議しながら業務内容や労働時間の調整を進めることができます。

ストレス対策の方法を学べる

面談では、従業員が自身のストレスを管理するための具体的な方法も学ぶことができます。産業医からは、効果的なリラクゼーション法、適度な運動の取り入れ方、栄養バランスの整った食事の重要性など、日常生活で実践できるストレス管理法について指導が行われます。これにより、従業員は長期的に健康を維持し、仕事と生活のバランスを保つことができます。

企業のサポートを受けやすくなる

産業医面談を通じて、従業員のストレス状況が企業側にも共有され、職場環境の改善につながることがあります。企業は従業員の健康を維持するための方策を講じることが求められ、必要に応じて就業環境の改善や支援体制の強化を行います。これにより、従業員はより安心して働くことができるようになります。

企業にとってのメリット

労働生産性の向上

産業医面談を適切に実施することで、従業員のメンタルヘルスが改善され、仕事に対する集中力や意欲が高まります。ストレスが軽減されることで、業務の効率が向上し、職場全体の生産性の向上にもつながります。また、従業員が安心して働ける環境を整えることで、チームワークの強化や業務の円滑な進行が期待できます。

メンタルヘルス不調による休職・離職の防止

ストレスが蓄積されると、メンタルヘルス不調による休職や離職のリスクが高まります。産業医面談を通じて早期に対応を行うことで、従業員が心身のバランスを保ち、長期的に安定した職業生活を送ることが可能になります。企業としても、頻繁な人材流出を防ぐことで、採用や研修にかかるコストを削減し、経験豊富な従業員の定着率を向上させることができます。

健康的な職場環境の維持

企業が従業員の健康を重視し、産業医面談を適切に活用することで、職場全体の環境が改善されます。健康的な職場環境が整うことで、従業員の満足度が向上し、企業の評判やブランド価値の向上にもつながります。特に、働きやすい環境を提供することで、優秀な人材の確保にも有利になり、競争力のある企業経営が可能となります。

ストレスチェック後の産業医面談の流れとは

ストレスチェック後に実施される産業医面談の流れを、具体的なステップごとに詳しく説明します。

面接指導の申出の勧奨

企業は、高ストレス者に対し、産業医面談を受けるよう積極的に勧奨します。特に、メンタルヘルス不調のリスクが高い従業員には、早期の対応が重要です。企業は個別面談や説明会を通じて、面接指導の重要性を伝えることが求められます。

面接対象者から面接指導の申出

従業員自身が面談を希望する場合、企業に申請します。この際、従業員はストレスチェックの結果をもとに、どのような悩みがあるかを整理し、具体的な相談内容を準備すると面談がスムーズに進みます。また、企業側は従業員が申請しやすい環境を整え、プライバシーを尊重した申請方法を提供することが大切です。

事業者から医師へ面接指導実施の依頼

企業が産業医に対し、面談の実施を依頼します。産業医には従業員のストレスチェック結果や勤務状況、職場環境に関する情報が提供され、より適切なアドバイスを行うための準備がなされます。また、企業と産業医が密に連携し、従業員の健康維持に向けた具体的なサポート策を事前に検討することが重要です。

医師による面接指導の実施

産業医が従業員と面談を行い、ストレスの原因や対処法を話し合います。面談では、業務内容や人間関係、ワークライフバランスなどの観点から、従業員の悩みを深掘りし、適切なアドバイスを提供します。必要に応じて、ストレス軽減のための具体的な施策(勤務時間の調整、業務量の見直し、リラクゼーション技術の指導など)が提案されます。

医師からの意見聴取

産業医は面談の結果を企業に報告し、必要な対策を提案します。報告内容には、従業員のストレスレベル、職場環境の課題、改善策の推奨事項などが含まれます。企業はこの意見をもとに、従業員が快適に働ける環境を整えるための方針を検討します。

必要に応じ就業上の措置の実施

企業は、産業医の意見を踏まえ、必要な職場改善や就業措置を実施します。例えば、短時間勤務の導入、業務負担の軽減、職場環境の見直しなどが検討されることがあります。また、定期的なフォローアップ面談を実施し、従業員の健康状態を継続的にモニタリングすることが重要です。

ストレスチェック後の産業医面談の注意点

産業医面談を実施する際には、従業員の健康を守るためにいくつかの重要なポイントを意識する必要があります。適切な情報共有とタイミングを確保することで、より効果的な面談を実施することが可能です。

産業医面談はいつまで実施すべきか

速やかに実施することが推奨されますが、具体的な期限は法律で定められていません。ただし、ストレスチェックの結果が通知されてから1か月以内に実施するのが望ましいとされています。特に高ストレス者の場合、面談の遅れは健康悪化につながる可能性があるため、企業は早急に対応すべきです。また、面談後のフォローアップとして、定期的な経過観察を行うことも推奨されます。

産業医にはどのような情報を提供したらよいか

産業医面談を円滑に進めるためには、適切な情報を提供することが重要です。以下のような情報が必要となります。

  • ストレスチェックの結果:特にストレスの程度や主な要因について詳細な情報を共有することが必要です。

  • 業務内容と職場環境:従業員の職務負荷、労働時間、職場の人間関係、業務の特性などを産業医に伝えることで、より的確なアドバイスが得られます。

  • 健康状態や既往歴:従業員の過去の健康状態や現在のメンタル・フィジカルヘルスについても情報を提供することで、面談の効果を高めることができます。

  • 企業の対応方針:産業医と企業が連携し、従業員のメンタルヘルス対策を進めるための具体的な方針も共有すると良いでしょう。

高ストレス者が産業医面談を申出ない場合はどうしたらよいか

産業医面談は従業員の自由意思に基づくものですが、高ストレス者が面談を希望しない場合、企業としてどのように対応するべきか考慮する必要があります。

  1. 面談の重要性を丁寧に説明する 面談の目的が単なる評価ではなく、従業員の健康を守るためのサポートであることを伝え、安心して受けられる環境を整えることが大切です。

  2. 他の支援制度を紹介する 産業医面談を希望しない場合でも、カウンセリングや社内のメンタルヘルス支援制度の利用を提案することで、間接的なサポートを提供することが可能です。

  3. 職場環境の見直しを行う 面談を拒否する理由が職場環境に起因している可能性もあるため、職場の負担軽減策やチーム内のコミュニケーション改善を検討することも必要です。

  4. 保健師等の専門家との面談の実施 医師との面談は心理的なハードルが高いと感じられる方は少なくはありません。その場合、保健師などの専門家との面談を取り入れることで、より気軽に相談できる環境を整えられます。これにより、早期のストレス対策や個別のサポートがスムーズに行えるようになります。

従業員の意向を尊重しつつも、適切なケアを提供することが重要です。企業と産業医が協力しながら、従業員の健康を守るための最適なサポート体制を整えましょう。

おわりに

ストレスチェック後の産業医面談は、従業員のメンタルヘルスを守るために重要な役割を果たします。企業と従業員の双方にとってメリットがあるため、適切に活用し、職場環境の改善につなげましょう。

参照
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(厚生労働省)
「医学的知見に基づくストレスチェック制度の適切な面接指導実施のためのマニュアル」(厚生労働省)

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記事監修

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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