外部相談窓口(EAP)を設置するメリット・デメリットや業者選びのポイントを徹底解説!

外部相談窓口(EAP)を設置するメリット・デメリットや業者選びのポイントを徹底解説! EAP

外部相談窓口(EAP)の設置は、企業にとって従業員のメンタルヘルスや職場環境の向上に寄与する重要な措置です。特に、匿名性やプライバシーの確保により、従業員が安心して相談できる環境が整うことで、問題の早期発見や解決が可能になります。また、専門知識を持つ相談員によるアドバイスが受けられることで、従業員自身の成長にもつながります。

しかし、情報漏洩のリスクや導入コスト、社内の一体感の欠如といったデメリットも存在するため、企業はこれらを総合的に考慮して適切な業者選定を行う必要があります。

今回は、外部相談窓口(EAP)を設置する際のメリットやデメリット、そして業者選定のポイントについてご紹介します。

外部相談窓口(EAP)を設置するメリット

相談へのハードルを下げる

従業員が同じ社内の人に相談する場合、心理的な抵抗を感じることが多いです。特に、ハラスメントやメンタルヘルスに関する問題の場合、相談することで自分の立場が不利になるのではないか、周囲に知られるのではないかという不安が伴います。

しかし、外部の相談窓口を利用することで、匿名性やプライバシーが確保されます。この環境により、従業員は安心して自分の悩みや問題を率直に話すことができるようになります。

専門知識を持った相談員が対応する

外部相談窓口を利用する場合、心理カウンセラーや法律の専門家、労働問題に精通した専門家が相談員として対応することがほとんどです。これにより、従業員は自分の抱える問題に対して、専門的で的確なアドバイスを受けることができます。例えば、メンタルヘルスの問題に対しては心理的なサポートを受けることができ、法的なトラブルについては法律の専門家からの適切なアドバイスが得られます。

専門家との対話を通じて、問題を整理し、解決策を見つける力を養うことができるため、長期的には従業員自身の成長にも繋がります。

人事労務担当者の負担軽減

社内での相談窓口を運営する際には、多くの人員や時間が必要です。従業員からの相談に対応するためには、専門的な知識やスキル、さらには時間を要します。外部のEAPを利用することで、人事や労務担当者は従業員のメンタルヘルスやハラスメント問題に直接関与する負担が軽減されます。

これにより、人事労務担当者は、日常的な業務に集中できるようになります。組織全体の効率が向上し、人事部門の役割をより効率的に行うことが可能になります。

問題が大きくなる前に適切な対応が可能

外部相談窓口(EAP)を通じて早期に相談を行うことで、問題が深刻化する前に対処することができます。例えば、職場での小さなトラブルやメンタルヘルスの不調が早期に発見されれば、適切なサポートを受けることで、問題の拡大を防ぐことができます。

これにより、職場の雰囲気が悪化することを防ぎ、従業員の離職率を下げる効果が期待できます。問題が大きくなる前に対処することで、企業全体の生産性や士気を維持することが可能になります。

従業員の安心と社会的な信用の向上

外部相談窓口(EAP)を設置することで、従業員は会社が自分たちの健康や福祉を重視していると感じることができ、モチベーションの向上につながります。従業員が安心して働ける環境が整うことで、職場の満足度が高まり、結果として生産性の向上が期待されます。

また、企業が従業員のメンタルヘルスや福祉を重視する姿勢は、企業の社会的責任(CSR)を果たす一環ともなります。これにより、外部からの信用を得ることができ、企業のブランドイメージや評判を向上させる効果も期待できます。

このように外部相談窓口(EAP)の設置は、従業員のメンタルヘルスや職場環境の改善のみならず、企業全体の生産性向上や人事労務の効率化にとって重要であると言えます。

外部相談窓口(EAP)を設置するデメリット

外部相談窓口(EAP)の設置は、従業員のメンタルヘルスや職場環境の改善に寄与する一方で、いくつかのデメリットも存在します。特に、情報漏洩のリスクや導入コスト、社内の一体感の欠如といった課題は、企業にとって重要な検討事項です。外部相談窓口を設置するデメリットについて見ていきましょう。

外部への情報漏洩のリスク

EAPを利用する場合、相談内容が外部の第三者に知られる可能性があるため、情報漏洩のリスクが存在します。特に以下の点が問題となります。

個人情報の保護

相談内容には、個人に関する情報や職場の機密情報が含まれることが一般的です。これらの情報が適切に管理されなければ、外部に漏洩する可能性があります。たとえば、相談内容が第三者に知られることで、従業員のプライバシーが侵害される場合があります。

セキュリティ対策の必要性

情報漏洩を防ぐためには、EAP提供者が厳格な情報管理体制を持っているか、適切なセキュリティ対策が講じられているかを確認する必要があります。しかし、これが十分に整っていない場合、企業にとって重大なリスクとなります。特に、法的な問題や企業の信頼の低下を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

 コストがかかる

EAPの導入には、外部の専門機関に対する契約料やサービス利用料が発生します。

初期投資の負担

EAPを導入するためには、初期投資として契約料が必要です。また、継続的なサービス利用料も発生します。特に小規模な企業では、これらのコストが経営に対する負担となることがあります。

費用対効果の検討

EAPの導入にあたっては、十分な費用対効果を検討する必要があります。導入後に期待される効果(従業員のメンタルヘルス向上、離職率の低下など)とコストを比較し、導入が本当に必要かを慎重に判断することが重要です。

外部相談窓口(EAP)の設置には、情報漏洩のリスク、コストの負担、社内の一体感の欠如といったデメリットがあります。これらのリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。導入を検討する際には、メリットとデメリットを総合的に考慮し、企業のニーズに最も適した選択を行うことが求められます。

外部相談窓口(EAP) の業者を選ぶポイント

外部相談窓口(EAP)を導入する際には、業者選びが非常に重要です。適切な業者を選ぶことで、従業員のメンタルヘルスや職場環境の改善に大きく寄与します。ここでは業者選びのポイントについて詳しく説明いたします。

専門性と経験

EAP業者には、心理カウンセリングやメンタルヘルス、法律相談、労働問題に関する専門家が在籍しています。選ぶ際は、業者のバックグラウンドや経験年数をチェックしましょう。特に、特定の業種や問題に特化した経験がある業者は、より具体的で実践的なアドバイスを提供できる可能性があります。

提供するサービスの内容

EAPが提供するサービスの内容は多岐にわたります。電話相談、対面カウンセリング、オンラインカウンセリングなど、相談形式について確認してください。また、メンタルヘルスに関するセミナーやストレス管理プログラムなど、従業員向けの教育プログラムの有無も重要です。自社のニーズに応じたサービスが揃っているかを確認しましょう。

プライバシーとセキュリティ

従業員が安心して相談できる環境を提供するためには、プライバシーの保護が不可欠です。業者がどのように情報を管理し、秘密保持を確実にしているのかを確認しましょう。特に、個人情報保護法等に準拠しているかも重要です。具体的な対策やポリシーを明示している業者から選定することをおすすめします。

料金体系の明確さ

EAPの導入にかかるコストは、企業にとって重要です。業者によっては、基本料金に加え、利用頻度に応じた追加料金が発生する場合があります。契約内容がわかりやすく、隠れた費用がないかを事前に確認しましょう。予算に合ったプランを選ぶためには、複数の業者から見積もりを取ることもおすすめです。

サポート体制

EAPの導入後も継続的なサポートが必要です。業者が定期的にフォローアップを行い、従業員の状況を把握し、必要に応じたアドバイスを提供しているかを確認しましょう。また、従業員向けの研修やセミナーを開催している業者も、従業員の理解を深める上で有効です。サポート体制が整っていることで、より効果的な活用が期待できます。

カスタマイズできるかどうか

自社の特性や従業員のニーズに応じてサービスをカスタマイズできるかどうかも重要なポイントです。業者が柔軟に対応できるか、また、特定の問題に対する特別なサービスが用意されているかを確認しましょう。カスタマイズが可能であれば、より具体的なニーズに応えることができ、効果を高めることが期待できます。

業者とのコミュニケーション

EAPサービス導入を検討する際、業者の担当者とのコミュニケーションがうまくいくか等の相性は重要です。打ち合わせや問い合わせの際に、業者の対応が迅速かつ丁寧であるかをみてみましょう。業者が自社のニーズを理解し、適切な提案をしてくれるかどうかも重要です。良好なコミュニケーションが築ける業者は、信頼関係を構築しやすくなります。

価格だけでなく内容を重視

外部相談窓口(EAP)の業者選定において、価格は重要な要素ですが、安価であってもサービスの内容が劣る場合、EAP導入後に問題が生じる恐れがあります。特に、メンタルヘルスや職場の人間関係に関する問題は、迅速かつ適切な対応が求められる場面が多いため、専門家の質が非常に重要です。

緊急対応が必要な状況に対する判断力

緊急の問題が発生した際、適切な対応ができる専門家がいるかどうかは、業者選定の際に特に重視すべきポイントです。たとえば、メンタルヘルスに関する深刻な問題やハラスメントの事例が発生した場合、緊急性に気づき即座に対応できる専門家がいるかどうかが、従業員の安全や健康に直結します。

専門家の判断力

緊急事態においては、専門知識を持つカウンセラーやコンサルタントが、適切な判断を下すことが求められます。例えば、危機的状況にある従業員に対して、どのようなサポートが必要かを迅速に判断し、適切なアクションを提案できる専門家がいることが重要です。

質の高いサービスの確保

低価格をメリットとする業者は、しばしばリソースが限られている場合があります。そのため、十分な数の専門家が揃っていなかったり、緊急対応ができる体制が整っていないこともあります。結果として、従業員が必要なサポートを受けられないリスクが高まります。

業者選定においては、コストだけでなく、その内容や専門性をしっかりと評価することが不可欠です。特に、緊急時に対応できる専門家がいるかを確認することで、従業員の安全や健康を守るための信頼できるサポートを確保することができます。

おわりに

EAPの導入は、従業員のメンタルヘルスや職場環境の改善に大きく貢献する一方で、注意が必要なポイントもあります。企業は、メリットとデメリットを慎重に比較検討し、自社に最適なサポート体制を整えることが重要です。これにより、従業員の健康と企業の成長を両立させることができます。

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記事監修

精神科医専門医・日本医師会認定産業医。
川崎医科大学卒、1988年渡辺クリニック(2018年改称)を開設。
その後、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会」委員、内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員、公益財団法人日本精神神経科診療所協会会長など歴任。
現在、医療法人メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長、大阪大学医学部神経科精神科非常勤講師、一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事ほか。
ストレスチェック法制化においても、厚生労働省「ストレスチェック制度に関する検討会」「ストレスチェック項目に関する専門検討会」「ストレスチェック制度マニュアル作成委員会」などの委員を務める。

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