あけおめ退職とは?年始に離職が増える背景と、日常からできる対応策

離職防止

年始の出社日、いつもの席に人がいない。

そんな形で突然気づく「退職」を、近年「あけおめ退職」と呼ぶことがあります。

この言葉は、マイナビなどが年始に出社した際、すでに同僚が退職していることに気づく現象として紹介しているものです。明確な学術的定義があるわけではありませんが、年末年始を区切りに離職が表面化するケースを指す、ひとつの俗称として定着しつつあります。

一見すると突然の出来事に見えるこの退職も、多くの場合は、年末まで水面下で積み重なってきた違和感や迷いが、年始に行動として表れた結果です。本記事では、「あけおめ退職」を一過性の話題としてではなく、従業員の心理と組織のズレが表れたサインとして捉え、その背景と人事ができる備えを整理していきます。

あけおめ退職とは何か

あけおめ退職とは、

年明け(主に1月)に退職の意思表示がなされる、または実際に退職に至るケースを指す俗称です。

SNSやメディアで使われ始めた言葉ですが、現場感覚としては以前から存在していた現象ともいえます。1月初旬に退職の申し出がある場合もあれば、出社予定日に姿を見せず、後から退職が分かるケースも含まれます。

なぜ年明けに退職が表面化しやすいのか

年始に出社したら、同僚がすでに退職していた。
または、年明け早々、「実は退職を考えています」「年明けを区切りに決断しました」
こうした相談や退職の連絡が、1月に入ってから続くことがあります。正月明けに表面化する「あけおめ退職」は、突発的に見えて、実は年末年始の振り返りと環境要因が重なった結果とも言えます。

年末まで「我慢」していた反動

年末は繁忙期や締め業務が重なり、「今は辞める話をするタイミングではない」と、違和感を抱えたまま乗り切る人も少なくありません。

年明けはその緊張がほどけ、「もう無理を続けなくてもいいのでは」という気持ちが表に出やすくなります。
その気持ちが、これまで抑えていた思いや迷いを行動へと移すきっかけになることもあります。

正月休みによる心理的リセット

仕事から物理的・心理的に距離ができることで、

  • 本来の生活リズムに戻る

  • 家族や友人との会話が増える

  • 将来や働き方について考える時間が生まれる

こうした要素が重なった結果、「このまま続けるか」「区切りをつけるか」を冷静に考える人が増えます。

正月休みによるリセットと振り返り

年末年始の休みは、普段よりも仕事との距離が大きく取れる、数少ない時間です。
忙しさの中では後回しになりがちな体調や生活リズムを整えながら、ふと「この働き方は自分に合っているのだろうか」と立ち止まる人も少なくありません。
この時期は、家族と過ごす時間が自然と増えることで、これまで見過ごしてきた負担に気づくことがあります。
「平日はほとんど顔を合わせていなかった、今の生活をこの先も続けられるのか」などの問いがあった場合は静かに浮かび上がってきます。
また、帰省や年始の集まりで友人や知人と近況を話す中で、働き方や待遇の違いを実感する場面もあります。比較は単なる不満や羨望ではなく、自分にとって何を大切にしたいのかを見極める、キャリアを考えるうえでの重要な視点になることもあります。
こうした時間は衝動的な決断というよりも、これまで心の奥にあった考えを見つめ直す過程に近いものです。
その結果として、年明けを区切りに一度立ち止まろうという判断が固まっていくことがあります。

年明け業務再開時のギャップ

休暇明けに業務が再開すると、

  • 業務量

  • 人間関係のストレス

  • 評価や役割への不満

が再認識され、決断を後押しするケースもあります。

いわゆる「正月病」と重なる部分もありますが、退職という行動にまで至る場合は、背景がより複合的です。

人事・管理職が意識しておきたい視点

現場でよく見られるのは、次のようなケースです。
  • 入社1〜3年目の若手社員

  • 配属・異動後に適応が進まなかった社員

  • 評価や処遇への納得感が低い状態が続いていた人

  • 表立った不調はないが、モチベーションが低下していた人

特に、いわゆる「静かな退職(心理的な離脱)」状態が続いた後、年末年始をきっかけに意思決定が明確になるケースは少なくありません。

しずかな退職が表面がする一因

年始に退職が表面化する背景には、いわゆる「しずかな退職」の状態が続いていたケースもあります。
業務量を最低限に抑え、強い不満を表に出さないまま、内心では職場との距離が広がっていた状態です。
年末年始は、そうした状態にあった人が自分の気持ちを言語化し、最終的な行動に移るきっかけになりやすい時期とも言えます。

突然に見えて、突然ではない

あけおめ退職は、個人の問題として片付けられがちですが、背景には業務負荷、評価、コミュニケーション、支援体制など、組織側の要因が積み重なっていることも少なくありません。
年末にかけての面談や声かけ、休暇前後のフォローは、離職そのものを防ぐというよりも、状態の悪化を早期に察知する機会としても重要です。

体調ではなく「働きやすさ」の視点も

不調が見えない社員ほど、周囲は見落としがちです。

体調の話だけでなく、

  • 業務の進めやすさ

  • 役割の納得感

  • 人間関係の負担感

など、「働きやすさ」の観点での確認が重要です。

働き続けられる環境を整えるという視点

転職や退職のハードルが下がっている現在、従業員が日常的に「ここで働き続けたい理由」を持てているかどうかが、より重要になっています。「辞めたい」と口にされてから慌てて対応するのではなく、その手前で、違和感や迷いが積み重なりにくい環境を整えていくこと。それが結果として、年始の突然の離職を防ぐ土台になります。

組織としては、特別な施策を打つというよりも、給与、業務量、休暇、職場の人間関係といった日常の職場環境を継続的に見直していく視点が欠かせません。

こうした取り組みは、すぐに離職率を下げる特効薬ではありません。多くの場合、実現までに一定の時間を要し、試行錯誤を重ねながら職場に定着させていく必要があります。しかし、「ここでなら安心して働き続けられる」「この職場で成長していきたい」と感じられる理由を少しずつ積み重ねていくことが、結果的に、突然の離職という形で表面化する前のブレーキになります。

企業ができる対策は?あけおめ退職を防ぐための日常的アプローチ

まとめ

あけおめ退職は、年始に突然起こる出来事のように見えて、実際には年末までに積み重なっていた違和感や迷いが、区切りのタイミングで表に出た結果であることが多いものです。

大切なのは、「辞めたい」と言われてから対応することではなく、その手前にある変化や揺らぎに気づける関係性を、日常の中で育てていくことです。
年末年始を特別視するのではなく、普段の関わり方や職場環境を見直す視点として活かしていくことが、結果的に年始の離職を防ぐ土台になります。

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